2008-01-01から1年間の記事一覧

ゲオルク・ハイム『モナ・リーザ泥棒』(河出書房新社)

雑誌『幻想と怪奇』に訳出された衝撃作「狂人」を含むドイツ表現主義作家の短編集。ハイムの世界に善意、救い、希望などというものは一切ない。狂気すれすれの、いや、すでに狂気の領域に突入した鬼気迫る筆致で悲劇を描き上げる。たとえ喜びのきざしが一瞬…

『放課後の国』

少女漫画をつまらないとする言としてよくあるのは「少女漫画は恋愛のことしか書いてないから面白くない」というものですが、私はこれに大胆に反論したい。すなわち、「少女漫画とはいつ恋愛に転ぶかわからないから面白い」ということなのです。「放課後の国…

『サマータイムマシン・ブルース』

タイム・マシンにはいろんな種類がある。大雑把に分けるとしたら、時を変えることができるものと、変えることができないものの二つ。ここではめんどくさいから、未来のことはおいておく。それじゃあ、過去へ行ってみようと実際に過去へ行ってしまうと、存在…