「フラットライナーズ」(監督:ジョエル・シュマッカー, 1990年, アメリカ)

タイトルになっている『フラットライン』とは、脳波が平坦になった状態、すなわち死を意味している。主人公である医学生たちは、臨死体験に魅せられ、自身の身体を使いその実験をする。実験は見事成功と思えたが、主人公たちの周囲に不穏な空気が漂う、過去に抑圧していたトラウマが蘇ったのだ。ストーリーを表すと、こんな感じだ、これだけとも言ってよい。ただ単に、臨死体験実験したらトラウマが蘇ってそれで終わり。特にオチがあるわけでもなく、SF的な説明も皆無である。ストーリーの描き方もただただ主人公たちの個人的なトラウマシーンが流されているだけでさすがに飽きる。映像も、さして共感できるわけでもないキャラクターたちのトラウマシーンと蘇生シーンを繰り返すだけで、目新しいところがなく、後半に出てくる映像は前半で見たようなものがほとんどだ。蘇生シーンもはじめのころは緊迫感があったが、何人もが同じやり方で蘇生されるので白ける。キャラクターたちが緊迫しているのが、逆にわたしの心を白けさせた。自分のトラウマの解決方法も、昔虐めていたクラスメイトに謝るとかせこい方法を使う。この種の映画にそんな人情話はいらない、サイケデリックな映像と大量のトランスミュージックで視聴者の脳を破壊してくれればいいのだ。

評価 B-(凡作以下)